NZ高校留学から宇宙開発の最前線へ

月面ローバ開発に携わる加藤里彩さん

高校2年生の夏、ニュージーランドへ1年間の高校留学に飛び立った加藤里彩さん。現地の授業で「ものづくり」の面白さに出会ったことが、その後の進路を大きく変えました。

現在は、月の南極域で水資源を探す月極域探査機(LUPEX)プロジェクトの一員として、月面ローバの開発に携わっています。留学から約10年。高校留学がどのように今のキャリアにつながっているのか、お話を伺いました。

Kaikorai Valley Collegeへ留学時の加藤さん
お名前加藤 里彩さん
留学先ニュージーランド・Kaikorai Valley College
留学期間2015年7月〜2016年7月(1年留学)
大学東北大学 工学部 機械知能・航空工学科
現在国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 月極域探査機プロジェクトチーム

月面ローバの開発に携わる、現在のお仕事

現在のお仕事について教えてください。

月極域探査機(LUPEX)プロジェクトチームの一員として、月面ローバの開発に携わっています。
LUPEXローバシステムには多くの観測機器を搭載しており,直接定量分析による水の存在量や存在形態のデータ取得を行います。月南極域の地下深さ1mまでの土壌には水が存在するとされており、ドリルで月レゴリスを掘削・採取し、熱重量分析計で計測を行います。
私は月面での走行性能を確認するため、月の模擬砂を用いた走行試験や真空環境下での部品性能評価試験などを担当しています。

筑波宇宙センターにて

お仕事に、留学経験はどのように活かされていますか?

LUPEXプロジェクトは、インド宇宙研究機関(ISRO)との国際共同ミッションです。JAXAはロケットと探査機、ISROは着陸機の開発を担当しています。それぞれを統合するためのインターフェイス調整で、留学経験で培った英語力と国際感覚が活かされています。

国際学会の展示ブースで、LUPEXローバの模型を来場者に紹介

留学前:ニュージーランドを選んだ理由

留学しようと思ったきっかけは何ですか?

高校1年生の夏にハーバード大学の学生といっしょに過ごすサマーキャンプに参加しました。その時、英語のコミュニケーション能力の拙さと視野の狭さを痛感しました。月面探査に関わる仕事をするために海外で英語を学びながら、見識を広げたいと考えていた時、あるハーバード生が私に「若い頃にいろんなことに挑戦しなさい。そうしたら将来の自分に役に立つから」とアドバイスしてくれました。この言葉をきっかけに、私は留学に挑戦しようと決心しました。

留学先の国・学校を選んだ理由を教えてください。

ICCグローバルリーダー高校留学奨学金(当時)の対象校の中から留学先を選びました。ニュージーランドの自然豊かな環境と、少人数制での実践的な授業に魅力を感じていました。

留学中:将来を決めた「ものづくり」の授業

留学先ではどんな科目を学びましたか?好きだった科目は?

日本では学べない科目を勉強したいという気持ちから、歴史やアウトドアアクティビティなど幅広く授業を選択しました。中でも、デザインとテクノロジー(メタル)の授業では、自分で設計して製作するまでの「ものづくり」のプロセスを学びました。これが、その後の進路を決めるきっかけになりました。

進路:留学中に決めた工学部への道

進路を考え始めたのはいつ頃ですか?

冬休みに一時帰国した際に大学フェアへ参加し、進路について考え始めました。留学中にものづくりの楽しさを経験したことから、工学部への進学を決めました。

高校留学は、大学選びにどう影響しましたか?

高校留学で培った英語力を活かして、東北大学工学部の留学生向けコースに進学しました。専門科目を英語で履修するのは大変でしたが、優秀な留学生と切磋琢磨する中で、自分の視野や専門性をさらに高めることができました。こうして身につけた英語力と国際的な視点は、いま携わっている国際共同プロジェクトでも役に立っていると実感しています。

大学ではどんなことを学びましたか?

摩擦・摩耗を専門にする「トライボロジー」の研究室に所属していました。機械が壊れる原因の80%は摩擦・摩耗によるものだと言われており、壊れない機械を作るには摩擦を制御することが重要です。補助人工心臓を製造している会社と共同研究を行い、血液中で低摩擦を発現するための表面設計・たんぱく膜形成について研究しました。

留学で変わったこと

留学を通して、ご自身が変わったところはありますか?

高校2年生で留学したため、受験勉強に本格的に取り組み始める時期に日本の高校を離れることには、大きな勇気が必要でした。でも、あえて一歩離れた環境に身を置いたことで、自分の将来や進路についてじっくり考えることができ、後悔のない進路選択ができました。
また、ホームステイを通してニュージーランドの家族のあり方に触れたことで、家族の大切さを改めて見つめ直す機会にもなりました。

もう一度高校時代に戻れたら、また留学しますか?

まだ肩書のない状態で留学したことで、先入観や固定観念にとらわれず、さまざまな価値観や経験を素直に吸収することができました。それが今の価値観や考え方の土台にもなっています。もう一度高校時代に戻れたとしても、留学を選ぶと思います。

今後の目標

いま携わっているLUPEXプロジェクトを成功に導くことが、まずは一番の目標です。そして将来的には、月面基地建設など、月に関わる国際共同プロジェクトに携わりたいです。最前線で活躍できるエンジニアになれるよう、日々の業務から知識や経験を積み重ねていきます。

種子島宇宙センター「ロケットの丘」にて

これから留学する皆さんへ

帰国してからの受験勉強は大変でしたが、いま振り返ると、留学中に過ごした時間はかけがえのない経験だったと実感しています。少しでも留学を考えているなら、ぜひ挑戦してみてください。

編集後記・CTA

加藤さんが留学中に出会った「ものづくり」の授業は、日本の高校ではなかなか経験できないものでした。高校留学では、教科選択の幅が広い分、自分の「好き」を見つけるきっかけに出会えます。

加藤さんのように、高校留学で将来の可能性を広げてみませんか?SEKAIAでは、留学後の進路・進学まで見据えたカウンセリングを無料で行っています。

*この記事はSEKAIAの留学コンサルタントの大八木(オーストラリア政府認定カウンセラー/JAOS認定カウンセラー)が監修しています。

パンフレット配布中

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